お知らせ

アスファルトルーフィング工業会とトーチ工法ルーフィング工業会は、一般社団法人日本防水材料協会(JWMA)の改称・改組に伴い
平成30年6月15日をもってその事業活動の場を、JWMAアスファルト防水部会に移すことになりました。

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技術資料

環境対応(アスベストについて)

アスファルト防水材料・副資材とアスベストについて
-過去の使用状況とその対応について-

アスベストによる健康障害が社会的問題となり、アスベストを原材料として使用した建材に関しても、過去のアスベスト使用状況、改修、解体時の取扱い等への関心が高まってきております。

アスベストが0.1%を超えて含まれるアスファルト防水材料および関連副資材は、石綿障害予防規則に従った取扱いが必要になります。

このため、アスベストが0.1%を超えて含まれるアスファルト防水材料および関連副資材の改修、解体時の取扱い等について、当工業会の見解および具体的取扱い方法等についてまとめました。

 

1.アスファルト防水材料および関連副資材のアスベスト含有調査

当工業会では、現会員会社の過去に製造したアスベスト含有製品の調査を行いました。なお、調査は現在の会員会社を対象に行ったものであり、現会員以外の製品は今回の調査対象には含まれておりません。

過去にアスベストを含有した製品は、「特殊アスファルトフェルト類」、「特殊アスファルトルーフィング類」、「アスファルト系ルーフコーチング類」、「ポリウレタン系断熱材の面材」および「アスファルト系接着剤」です。これらのアスファルト防水材料および関連副資材へのアスベストの配合開始時期と終了時期 はメーカーにより異なりますが、各々の最終終了時期を[表1]に示します。

[表1] アスベスト含有アスファルト防水材料および副資材の最終終了時期(平成17年8月30日現在)

アスベスト含有アスファルト防水材料・関連副資材 最終終了時期
特殊アスファルトフェルト類 昭和61年(1986年)
特殊アスファルトルーフィング類 昭和62年(1987年)
ポリウレタン系断熱材の面材 *1 平成03年(1991年) *2
アスファルト系ルーフコーチング類 *1 平成14年(2002年) *3
アスファルト系接着剤類 *1 平成15年(2003年) *4
*1: アスベスト含有率が0.1%以上5%未満のものを含む
*2: アスベスト含有率が5%以上のものの最終終了時期は昭和54年(1979年)
*3: 殆どのものの最終終了時期は平成3年(1991年)。
一部アスベスト含有率が5%未満のものの最終終了時期が平成14年(2002年)
*4: 殆どのものの最終終了時期は平成3年(1991年)。
一部アスベスト含有率が5%未満のものの最終終了時期は平成15年(2003年)


 

2.アスベスト含有アスファルト防水材料の過去の使用状況

「建築工事共通仕様書」では、アスベストが0.1%を超えて含まれる特殊アスファルトルーフィング類については昭和48年版以前、同ルーフコーチング類については平成元年版以前の仕様書において使用が規定されていました。しかしながら、上記1の調査結果から、各々の施工時期までの防水材料については、アスベストが0.1%以上含まれている可能性があるものと思われます。但し、改修工事等で既に撤去されたものも相当量あるものと想定されます。

 

3.アスファルト防水材料および関連副資材中のアスベストの人体への影響

アスベストは、特殊アスファルトフェルト類、特殊アスファルトルーフィング類やポリウレタン系断熱材の面材においては基材の補強や耐腐朽性の向上等を目的として、基材に漉き込まれ、アスファルトを浸透・被覆したシート状のものとして使用されました。施工後は更に防水工事用アスファルト等で被覆され、経年劣化後もその状態を維持しながら徐々に硬くなります。これらは、施工時、施工後、経年劣化後のいずれにおいてもアスベストはアスファルト中に固定された状態で飛散しませんので、通常の使用状態では特に健康に影響はないと考えられます。

また、アスファルト系接着剤やルーフコーチングにおいては補強やだれ止め等を目的として配合され、アスファルトやゴムアスファルトに練り込まれたペーストの状態で使用されました。施工後は溶剤が揮発して硬い皮膜になります。経年劣化後もその状態を維持しながら徐々に硬くなります。これらは、施工時、施工後、経年劣化後のいずれにおいてもアスベストはアスファルトやゴムアスファルトに固定された状態で飛散しませんので、通常の使用状態では特に健康に影響はないと考えられます 。

 

4.アスベストを使用しているかどうかの見分け方

防水層単独については昭和62年(1987年)以降、ポリウレタン系断熱材を併用した断熱防水層については平成3年(1991年)以降、ルーフコーチング類やアスファルト系接着剤については平成15年(2003年)以降に施工された建物であれば、アスベストは含まれていないか、0.1重量%未満であり石綿障害予防規則には該当しません。

設計図書や施工記録により、[表1]の材料の使用が確認され、それらが前記の時期以前に施工されていた場合には、製造会社にアスベスト使用の有無を確認する必要があります。

▼アスベスト含有アスファルト防水材料の判定フロー(1)

アスベスト含有アスファルト防水材料の判定フロー(1)

▼アスベスト含有アスファルト防水材料の判定フロー(2)

(過去の記録等を調べても材種、製造業社名がわからなかった場合には,材種を確認する必要があります。)

 

アスベスト含有アスファルト防水材料の判定フロー(2)

5.各社アスベスト関連対応連絡先リスト

  担当部課名 郵便番号 住   所 TEL&FAX
静岡瀝青株式会社 営業部 420-0852 静岡県静岡市葵区紺屋町4-8 054-273-2781
054-273-3140
昭石化工株式会社 営業部 100-0005 東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル7階 03-6212-6253
03-6212-6263
田島ルーフィング株式会社 営業企画部
防水テクノ
サービス課
101-8579 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX南ウィング21F 03-6837-8880
03-6837-8890
東和工業株式会社 総務部 174-0043 東京都板橋区坂下3-29-11 03-3968-2301
03-3966-1801
七王工業株式会社 営業部 765-0031 香川県善通寺市金蔵寺町180 0877-62-0951
0877-62-4927
日新工業株式会社 技術部 344-0057 埼玉県春日部市南栄町16-1 048-755-6188
048-755-6177

 

6.アスベスト含有アスファルト防水材料および関連副資材の改修方法

アスベスト含有建材の建築改修工事における取扱い方法は、「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成16年版」及び「建築改修工事監理指針(平成16年版)」に詳細が規定されています。

同指針にはアスベスト含有アスファルト防水材料および関連副資材の処理方法の規定はありませんが、アスファルト防水材料および関連副資材中のアスベストは容易には飛散しないため「同指針9.1.4アスベスト成形板の処理工事」に準じた工事が必要と考えています。

改修工事における工事の詳細は、「建築改修工事監理指針 平成16年版(下巻) 9.1.4 アスベスト成形板処理工事p.663」を参照して下さい。

同指針でアスベスト成形板処理工事は、建設業労働災害防止協会「建築物の解体等工事における石綿粉じんへの暴露防止マニュアル」では発じん性の比較的低いレベル(作業レベル3)に分類される工事としています。アスベスト含有アスファルト防水材料および関連副資材の改修工事等もアスベスト成形板処理工事同様、発じん性の比較的低いレベル(作業レベル3)に分類される工事と考えています。

 

 

7.アスベスト含有アスファルト防水材料および関連副資材の廃棄処理方法

アスベスト廃棄物は、飛散性アスベスト廃棄物と非飛散性アスベスト廃棄物に分けられます。飛散性アスベスト廃棄物は、石綿保温材、けいそう土保温材、パーライト保温材、比重0.5以下の石綿含有保温材などの、人の接触、気流及び振動により石綿が大気に飛散するおそれがある石綿含有廃棄物です。これらは特別管理型産業廃棄物の「廃石綿等」に分類され、収集、運搬、処分等の基準が定められています。

非飛散性アスベスト廃棄物は、アスベストがセメント、けい酸カルシウム等と一体に成形されたアスベスト成形板(スレート板等)等で、これらは廃棄物処理及び清掃に関する法律では「非飛散性アスベスト廃棄物」に分類されます。

アスベスト含有アスファルト防水材料および関連副資材は、アスベストが有機系樹脂で固定されていることから非飛散性アスベスト廃棄物となりますが、廃棄物処理及び清掃に関する法律では0.1%を超える石綿を含有するものは「石綿含有廃棄物」として処理し、含有量が0.1%以下の場合は従来通り「廃プラスチック類」に分類されます。

 

 

参考.アスベスト含有分析機関

アスベスト分析機関は、石綿含有建材中の石綿含有率等分析機関一覧(PDFファイル)
 〔環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/air/asbestos/index_link.html 関係団体)より〕を参照して下さい。